2008年4月15日 (火)

起きて半畳 寝て一畳 ・・・

「起きて半畳 寝て一畳」の後に続く言葉知っている?と聞かれた。先日現場作業があったとき,関与先の社長から聞かれたのだ。実は私は高校時代から,故事成語やことわざなどに興味があって,これも好きな言葉の1つなのだ。初めて知ったのは昔読んだ劇画「子連れ狼」で,その中では「起きて半畳 寝て一畳 天下取っても二合半」と続いていた。それを言うと「ほしい! たらふく食っても二合半 と続くんだ。」と返された。それじゃぁあまりに下世話すぎませんかねぇなどとちょっと盛り上がった。いずれにせよ,足るを知る=知足を説いていることに間違いはない。

あとで調べてみると前述した2パターン以外に,「・・・・天下取っても四畳半」と続くものもあるようだが,数の並びから考えて「0.5 ,1.5 ,2.5」の方が階差数列的でしっくりきそうだ。個人的には「二合半」パターンを推したい。

本当はどれが正しいのだろうと出典を調べてみると,太田全斎によって著された江戸時代(寛政年間=1800年ごろ)の国語辞書「諺苑(げんえん)」らしい。しかし,その中では「起きて半畳 寝て一畳」で終わっており,後の部分は以降に付加されたようだ。

ところで「二合半」はもちろん1日に摂取するお米の量を示しているだろう。宮沢賢治の「雨にもまけず(カナ表記が正しい)」の中でも1日あたりのお米の量がでており,「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」とある。しかし4合はかなりの量になるはずだが,副菜が少なかった時代(1930年代)はこのぐらい食べないと必要なカロリーを賄えなかったのだろう。そのころの日本陸軍では朝昼晩とも二合づつ,1日に計六合摂ることになっていたらしい。戦中戦後の国定教科書では「雨にもまけず」のこの一節が「一日に玄米三合・・」と少なく表記されていたらしい。おそろく食糧難が反映しているのだろうが,戦後まもなくも理想的には一日に玄米四合が必要だったと考えられる。

とすれば「一日に二合半」はカロリーに換算すると約1300kcalにしかならないので,食糧事情が改善した時代の話と考えるのが妥当だろう。おそらく1960年以降に誰かが,後の部分を考えたと思われるが,残念ながらその誰かは今のところ不明のままだ。個人的な推測を付け加えれば,「天下取っても二合半」は「子連れ狼」の原作者小池一夫の創作ではないかと考える。「子連れ狼」の連載が始まったのが1970年だから時代的にも合致する。

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